”おえかき”の世界について

今回は、今まで書いてきた「生きづらさ」とか「人生設計」の話とは違う、私の世界についての話をしたいと思う。

私は絵を描くことが好きである。幼い頃からなんらかのイラストや漫画を描いてきたし、今でもひまさえあれば何かを描いている。今となっては、絵を描かない日が一日もない。

絵と言っても、絵の具などを使ったいわゆる「絵画」ではなく、自分は「イラスト専門」になっている。まあ、いわゆるニッポンの「サブカルチャー」の中心になっている、アニメや漫画のイラストね。ああいうやつを描いているよ。ひとくちに「絵」といってもいろいろなジャンルがあるからね。あと、イラストと美術は違うからって、学生のころ美術教師に怒られた。まあ、それはおいておくとして。

 

単純に絵を描くことが好きな人びとは、たくさんいる?

あなたは絵を描くことが好きだろうか。「嫌い」だという人はおそらく、普段自分から絵を描くことなんてしないだろう。生活していて「絵を描かないと生きていけない」なんていう場面は皆無であるからな。反対に、「好きだ」という人は幼い頃に自発的に絵を描いていたであろう。もしくは大人になっても絵を描き続けているだろうか。

私が思うに、純粋に「絵を描くことが好きだ」という人間は、かなりの割合で存在するんじゃないだろうか。根拠はないけど、割合的には10人に1人ぐらいはいるだろう。いや、もっと多いかな。その倍の、5人に1人ぐらいいるかもな。イメージ的には、なんらかの小規模なグループに一人ぐらいいるっていう感じだ。小規模なグループってなんやねん、っていう話だけど、たとえば小さな塾の講師の中に一人ぐらいとか、学級内の一つのグループに一人とか、そんな感じだ。決して少なくはない。私自身、絵が好きな人間にたくさん出会ってきた。

 

しかしながら、幼い頃絵を描くことが好きだった人の多くは、大人になるとぴたっと描くことをやめてしまうように思われる。たまに描くことはあっても、少なくとも毎日のように描いている人となると、ぐっと減るのではないだろうか。もちろん時間がなくなったり、大して絵を描くことが好きではなくなったり、ほかにもっと熱中できる趣味が見つかれば、絵をやめてしまうことはごく自然である。

 

しかしながら、中にはこの私のように「大人になっても絵を描き続けていて、しかも一生やめるつもりはない!」というやつもいる。こういう人の中には、単に趣味としてやめられない人もいれば、本気で職業にすることを考えている人間も多い。いずれにせよ、絵を毎日描かない人、やめてしまった人にくらべて、絵に対する強い思い入れみたいのがあるのはまちがいないんだろう。「絵に対する愛」がハンパないのだ。だから大人になっても続けられるんだろうけどね。

 

絵が上達しやすい人の特徴

絵を毎日のように描いている人の中には「上達したい!」という強い思いを持っている人が決して少なくない。というか、ほとんどの人たちはたぶんそう思っている。そういう強い目標がなくてただ絵を描くのが好きだから続けています、っていう人もいるかもしれないが、このグループではたぶん希少。というか、それぐらい強い思いがなければ、毎日絵を描く理由なんてないような気がしている。個人的にはね。

でも、毎日たくさん絵を描いていても、上達する人としない人、って分かれてしまうようです。どちらも上達願望が強くて、同じぐらい量を描いていても、です。絵はただ描いていても決して上達するもんじゃないんですよね。私自身、経験からそう確信しました。量は大事だけど、それだけじゃないんだ。

 

こういいますのも、はっきりいって、私自身「かなり上達が遅れた」ほうだったからです。

毎日絵を描き続けている人たちの平均レベルは、限りなく高い物になっています。そのレベルは年々上がり続け、これからもずっとあがっていくでしょう。本当に上手な方は、中学生や高校生ぐらいから、同年代に比べて圧倒的な差がついたり、プロ顔負けの画力を有していたりします。

何が違うのでしょうか。やっぱりこれが天賦の「才能」ってやつでしょうか??

 

独断も含みますが、おそらくそういう人たちの多くは「幼い頃に大好きな作品があった」とか「目標にしたい先生を設定していた」のではないかと思います。なおかつ「絵を描くことが他の誰よりも大好き」であるはずです。もう、絵を描かないと生きていけないレベルで大好きなんです。その愛の強さ、ちょっと並はずれている。こういう人間は、本当に上達が早いものです。

なぜこう言えるのか、というと、そういう人たちは「頑張ってうまくなりたい」という気持ちの前に、すでにたくさん描いているからです。大好きな作品があって、大好きなプロの先生がいて、その人の作品をごく「自然に」模写してたりする。休み時間とか空いている時間にそういうことやっている人、いますよね?それを続けているうちに、いつのまにか「うまくなっている」のです。本人達はたぶんこれを「努力」とは感じておらず「好きだからやってるだけ」と思っています。ごく自然にね。うまいプロの絵を毎日のように好きで模写していれば、そりゃうまくもなるだろう。その上「もっと上達したい」と思って本気で描くようになったら、すごいことになるのは当然かなと。

 

で、プロとして活躍している人の多くは、こういう人たちなんだろうな。と思っています。こういう人たちの有利な点は「プロになるために必死に描き続ける」ことを意識する前に、ある程度の下地がそなわっているところです。そこまでうまくなかった人たちが「プロになるために上達するぞ」と頑張っても、もうすでに大きな差をつけられてしまっています。だから、有利なのです。いわば、絵の「バケモノ」的存在ですね。ここまでくると、もう本当にバケモノですよ。

 

漫画家に関しても「漫画家を目指して漫画を描き始める」のではなく、「漫画を描くことがもともと好きだったから漫画家を目指す」ほうが明らかに有利であるのとおんなじですね。前者は後者に比べたら、漫画を描くことを好きではなかったはず。

 

絵に限らず、ある程度のレベルまでいくには何かしら天性の素質が必要と言われますが、私が思うにこの桁外れな「大好き」という気持ちの強さ、これが「天性の才能」のような気がしています。

で、正直に言ってしまうと、私にもここまでの愛はないんだろうと思っています。だから、上達が遅れたのだろうと。たくさん描いていたけどなぜかなかなか上達しなかった。なんでかな、才能がないのかな?とか空間把握能力が劣るためかな?とかずっと考えていましたが、最近、やっとその答えになりそうなものが見つかりました。

一番の原因はこの「愛情の強さ」です。私と、そういう集団には、大きな差があります。

私はおそらく上達に大きな影響を及ぼすであろう多感な時期の、中学生、高校生と絵をまともに描いていませんでした。中学生の頃、クラスにうまい子がいたのでマネして顔だけは描くようになりましたが、その後、いろいろ自信を喪失し、なんかやる気がでなくなっちゃったのかな。高校の時はほとんどまともに描いていなかった。描いててもラクガキ程度でした。一応、部活はイラスト部だったのに。。。うまい人はこの時期からしっかり完成した「漫画」や「一枚絵」を描いています。

あと、そこまで「大好き」っていう作品がなかったことと、つい最近になるまで「目標にしたい先生」を設定できなかったこと、これが本当に大きかったですね。そこに具体的な「理想の絵柄」みたいのがないまま描き続けていても、ゴールが定まりません。当たり前のことのようなのに、なぜか気がつけませんでした。

 

これに関しては、もともと通っていた漫画教室の先生からもはっきり指摘されていた。「上達するためには、一度自分の絵柄を捨てて、目標の先生とまったく同じ絵柄を描くようにしなさい」と。私はもともと自分の絵柄が好きで、それゆえに他の先生の絵柄を取り入れることをあまりしなかったんですね。あと、何かを見ながら絵を描くのはよくないことと思い込んでいたから、ろくに資料を使わずに無理に描こうとしていた。本当に遠回りしちゃった。

どんなうまい人でも、かならずなんらかの影響を受けた人物がいるはずだからね。また、その先生は「他の先生と同じ絵柄を描こうとしても、絶対に全く同じにならないから。それが個性なのだ」とも言っていました。私は自分の絵が誰かのマネだと言われることをかなり恐れていた節があります。でも、絶対無いんですよね。その人の微妙なタッチの差で、確実に違った物になっていきます。確かに、似ててもまったく同じ絵柄の先生なんて、ひとりもいませんよね。

 

絵が上達したい人へのアドバイス

「絵描き集団」のなかでは大してうまくもない私がえらそうにアドバイスなんていかがなものか、と思いますが、これだけはどうしても伝えておきたい、ということだけ、描いておきます。

上記でも述べましたが、絵の上達のためには「絵に対する愛」と「目標を明確に設定すること」、「とにかくたくさん、完成作品を描くこと」これが重要です。あえて「完成作品」としたのは、ラクガキだけをたくさん描いてもしっかり完成した作品が描けるようにはならないと思うからです。線を一本に、的確に描写する方法、線の強弱、色の塗り方など、完成作品を描き続けることで確実に自分なりの手法を見つけていくことができると思います。ラクガキだけではいざ完成作品を描こうとするとき、線をどう決めたらいいかなどあやふやになってしまいます。私自身もそうでしたが・・・

 

目標に関しては、なるべく早いうちに、あなたの理想とする絵柄に出会うことが大事です。今時は調べればいろんな絵師さんのイラストがすぐにでてきますから、じっくりあなたの好みの絵柄を探すことです。そして、それと同じ物が描けるように、ひたすら練習してみてください。

 

そして、それをできる限り、短い時間でもいいから「毎日」続けることです。継続は力なりといいますが、本当にその通りで、どんなに一時打ちこんでも、空白が空いてしまうとなかなか上達しづらいです。毎日ちょっとずつやることで、確実に前に進んでいきます。一気に上達することは無いと思った方がいいです。プロのような安定した絵柄を描くには、かなりの経験が必要と、私自身痛感しています。本当に地道な積み重ねです。

プロの方も「上達にはとにかくたくさん描き続けること」と誰もが言ってます。近道なんてないって事ですね。

 

それでは、今回は私の大切な世界である「絵」についてお伝えしました!上達したい方、絵が単純に好きな方、プロになりたい方、おたがいもっと絵を楽しみたいですね!私も、今以上にイラストを愛せるようになったらと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。